創作サイト【文燈】の雑記、一次、二次創作書き散らし用ブログ。
休止解除しました。創作関連はサイトでの更新に戻るので今後は雑記、返信等が中心となるでしょう。更新が鈍い場合はツイッター(http://twitter.jp/gohto_furi)に潜伏している可能性が、大。
本屋にはそうそう頻繁には足を運ばない。必然的に、行った際にはほぼ確実に複数冊を買っていく事になる。
昨日行った時も例外ではなく、【円環少女】、【ベティ・ザ・キッド】(でもキッドじゃない)、【ランジーン×コード】といったラノべ群のみが目的だったのに気が付けばもう一冊収穫が増えていた――【食べる人類誌】(ハヤカワ文庫NF)。実を言うと前々から気になってはいた一冊だったので完全な計算外という訳でもないですが、現状を鑑みるとちょいとばっかし重量感のあり過ぎる文庫かもしれないなーと買った直後は思っていた。
しかし読み始めると大いにのめり込む。このレーベルで思い出すのはこの間買った【神話の力】だけれど、もしかするとあれよりもある意味で神話や歴史の根源に直結しているのかも知れない。食から読み取る・掴み解く人類誌には、地に足の着いた切実で素面な人間たちの“食べカス”が、(幸運にも)ろくに掃除がされないまま遺留品としてしっかりへばり付いているのです。食の歴史という時点で事前にうっすら想像はしていたけれど、想像以上の密度でカニバリズムの話題が展開されている頁に接触した時には心が仰け反った。
『十八世紀の北米のインディアン戦争では、マサチューセッツ州軍のある兵士が、自分の仲間が敵に「ひどく悲しいペースで」少しずつ焼かれるのを見てふるえあがった。』
何一つ残虐な表現は含まれてないのにこれ以上に残酷な表現もない、と、心底思う。
まだ四文の一程度しか読破していませんがなかなか面白い一冊なのでお薦めです。ご飯のお供に是非。(一部例外)(笑)
しごとのすとれすが
なんねんかぶりに きけんすいいをとっぱしている きょうこのごろ
辞める時期を前倒ししたいなー、と一日に三回ぐらい物思いに溺れる。秋の終わりまでは、まだ遠い。
昨日行った時も例外ではなく、【円環少女】、【ベティ・ザ・キッド】(でもキッドじゃない)、【ランジーン×コード】といったラノべ群のみが目的だったのに気が付けばもう一冊収穫が増えていた――【食べる人類誌】(ハヤカワ文庫NF)。実を言うと前々から気になってはいた一冊だったので完全な計算外という訳でもないですが、現状を鑑みるとちょいとばっかし重量感のあり過ぎる文庫かもしれないなーと買った直後は思っていた。
しかし読み始めると大いにのめり込む。このレーベルで思い出すのはこの間買った【神話の力】だけれど、もしかするとあれよりもある意味で神話や歴史の根源に直結しているのかも知れない。食から読み取る・掴み解く人類誌には、地に足の着いた切実で素面な人間たちの“食べカス”が、(幸運にも)ろくに掃除がされないまま遺留品としてしっかりへばり付いているのです。食の歴史という時点で事前にうっすら想像はしていたけれど、想像以上の密度でカニバリズムの話題が展開されている頁に接触した時には心が仰け反った。
『十八世紀の北米のインディアン戦争では、マサチューセッツ州軍のある兵士が、自分の仲間が敵に「ひどく悲しいペースで」少しずつ焼かれるのを見てふるえあがった。』
何一つ残虐な表現は含まれてないのにこれ以上に残酷な表現もない、と、心底思う。
まだ四文の一程度しか読破していませんがなかなか面白い一冊なのでお薦めです。ご飯のお供に是非。(一部例外)(笑)
しごとのすとれすが
なんねんかぶりに きけんすいいをとっぱしている きょうこのごろ
辞める時期を前倒ししたいなー、と一日に三回ぐらい物思いに溺れる。秋の終わりまでは、まだ遠い。
“だから「解毒剤」がつくられるとしたら、それは「文法」に対する解毒剤というよりは、完全平和状態、完全理性状態を人類にもたらすような、ある意味で「文法」の鏡写し、それはそれで想像するとちょっと恐ろしい別世界をつくりあげるツールになるでしょうね。”
――【伊藤計劃記録】P167
「文法」=【虐殺器官】のその先を述べているこの一文は、紛れもなく【ハーモニー】の世界像を指し示している。器官が世に出てそれほど時間が経っていないこの時点で既にハーモニーの基盤は固まっていた、と言う事ですか――文法の鏡写し。器官の「文法」が【~せよ】というある種の行動を促すものの群体であるとすれば、ハーモニーの「文法」は【~すべきでない】という抑制の羅列のように思えます。解放と抑制の鏡写し。ただ、ハーモニーが【抑制器官】的なタイトルで売り出されたなら確実にWatchMeならぬWatchOnly(素通り)されて世には広まらなかったでしょうが(笑)。
ハーモニーの装丁をウェブ上で初めて見た時のあの染み込むような悪寒は、忘れ難い。ある一つの調和は、それよりも小さい調和の無限の複製に他ならない……個性の複製が形作る無個性の調和。そんな微笑み混じりのグロテスクさだからこそ、このタイトルが鮮烈で辛辣な輝きを放っているように思えたものでした。
そんな計劃さんの【伊藤計劃記録】、未読のままだったインタヴュー部分の残りを一気に読み進めた。盟友・円城塔氏との座談の中での【装飾と構造】のくだりはとっても納得。全ての要素に情報入りのタグを埋め込むのが計劃さんなら、構造された世界という一つのモデルに「このセカイの成分:人、空気、牛乳、靴下、悪の電子頭脳、……」と構成要素をまるごと箇条書きしておくのが円城スタイルなのかな、とか。この二人が共著したSF作品を、観てみたかった。本当に。
未完の【屍者の帝国】の冒頭部分を読んで、【トリニティ・ブラッド】を想像した人は少なくないのでは、と感じた。
と同時に、そのトリブラの著者さん(故・吉田直)の事を思うと運命とか人生とか宿命とかの諸単語の酷薄さを感じずにもいられなかった。死神の(鎌の)精度はFIFAの審判の世紀の大誤審なんて目じゃない脅威の低クオリティなのです。
あちらの世界には、そんなにも、娯楽の提供者が足りないのだろうか。
上京中の妹から『オーラを見てくれるとこの場所教えて』(母親経由で伝わっていた模様)とのメールがやってくる。
で、場所とか営業時間とかを詰め込んだ返信を送り返した。明日以降に行くのだろうけれど、どのくらい感化されて帰ってくるだろうか……若干(偽らざる本音)楽しみ。笑。
部屋の一角を占拠しているバベル(または賽の河原)の積み本の最上段に今置いてある【神話の力】を、ちょっと眼が疲れている時にうっかり題名と読み間違えてしまった事から、ふと「世界各地の神話・宗教の神々が一堂に会して相手を論破するディベートW杯を開催したら、優勝するのはどこの神様になるだろうか」と、これまた脳が疲れている事明白な悩みが発生したりした。
客観的に考えて、基本的に多神教>一神教の構図が成り立ちそうですね。一神教の絶対神さまはそもそも誰かを言い負かす必要がないから多神教学級の中に必ず1人はいるであろうお騒がせのトリックスター辺りにするすると言い包められそうだ…笑。基督教のなにがしさんは多分アジア最終予選で仏教やヒンドゥー教といった優勝候補に捻られて本大会出場を逃す事請け合いかと。このワールドカップならアジアこそ最激戦区か――日本代表になる事がまず一番難しそう。一粒のお米を代表するのでさえ、七人による激戦を勝ち抜かねばならない死のグループ。…談合がお家芸として発達するのもさもありなん、ですよ(違)。
優勝が何処の誰になるかはさておき、暇を持て余した神々は血生臭い刃は引いて、どこぞのモンスターエンジンみたいにもうちょっと心優しく生温いひとり/ふたり/みんな遊びにこそ興じるべきだと思うのです。
話力の他にも、色々な【力/癖】で競ったならば、どんな神様が頂点の座に就くだろうか。
その中で【手癖】について考えてみたら、真っ先にプロメテウスが脳裏をよぎって墜落した。ご存知、人間のために火を盗んだありがたくも手癖の怪しい(コラ)神様。実を言うと自分はこの神様が何故だか大好きで、メガテンシリーズのトレカとして存在する悪魔絵師金子・画のプロメテウスを財布に忍ばせていたり……特殊能力【先見】や【ワイズヒュー】は大真面目に欲しい。ストレンジジャーニー(DS)で登場した時には無駄に強化を施して中途半端に役立つサブメンバーとして連れ回しました。笑。
せっかくなので(誰もプレイしてる人はいないと悟りつつ)、そのパスワードを以下に。
<魔神プロメテウス LV73>
SせCふえゆにはTPえDJEよA
ひきさきGみんなWSかNもうかり
下段のパスがちょっとだけ愉快な文章と化しています。【みんなでG(ゴキ)を引き裂き、WS(ワンダースワン)で菅総理は儲かる】という…(ちょう意訳)
パスワードをキャンセルする度に全く新しいパスが出るので、上記のような文章に行き当たるまでしつこく粘ってみた。濁点文字は出ませんが、小十二時間(長)ほど粘ってみれば【はらたかし】(首相)とか【はらたいら】(三千点)とか【みのもんた】(色黒)とかは出そうな気がする。多分出るでしょう。【いろはにほへと……】はどんなに軽く淡く見積もっても三日三晩は掛かりそうですから、くれぐれも挑戦はしないように。
――とか書いていたら、プロメテウスを贔屓する理由に一つ思い当たった。
小学生の頃は実は大層手癖の悪い餓鬼でした。彼が火を盗んでゼウスから責め苦を受けたように、この自分もナントカGメンのいらっしゃらないスーパーで度々アレをソレしていたらある日とうとうそこの店長にとっ捕まってどっぷりじっとりと説教を食らったあの頃の思い出が、ほら、走馬灯の根元で死体みたいに埋まっている。(埋めた当人)(で、これ、悲しいかな全編実話)
あの店長の顔が藤田まことにそっくりだった事は強く印象に残っている。顔、ぜーんぜん思い出せないのに、なんでか、憶えている。
客観的に考えて、基本的に多神教>一神教の構図が成り立ちそうですね。一神教の絶対神さまはそもそも誰かを言い負かす必要がないから多神教学級の中に必ず1人はいるであろうお騒がせのトリックスター辺りにするすると言い包められそうだ…笑。基督教のなにがしさんは多分アジア最終予選で仏教やヒンドゥー教といった優勝候補に捻られて本大会出場を逃す事請け合いかと。このワールドカップならアジアこそ最激戦区か――日本代表になる事がまず一番難しそう。一粒のお米を代表するのでさえ、七人による激戦を勝ち抜かねばならない死のグループ。…談合がお家芸として発達するのもさもありなん、ですよ(違)。
優勝が何処の誰になるかはさておき、暇を持て余した神々は血生臭い刃は引いて、どこぞのモンスターエンジンみたいにもうちょっと心優しく生温いひとり/ふたり/みんな遊びにこそ興じるべきだと思うのです。
話力の他にも、色々な【力/癖】で競ったならば、どんな神様が頂点の座に就くだろうか。
その中で【手癖】について考えてみたら、真っ先にプロメテウスが脳裏をよぎって墜落した。ご存知、人間のために火を盗んだありがたくも手癖の怪しい(コラ)神様。実を言うと自分はこの神様が何故だか大好きで、メガテンシリーズのトレカとして存在する悪魔絵師金子・画のプロメテウスを財布に忍ばせていたり……特殊能力【先見】や【ワイズヒュー】は大真面目に欲しい。ストレンジジャーニー(DS)で登場した時には無駄に強化を施して中途半端に役立つサブメンバーとして連れ回しました。笑。
せっかくなので(誰もプレイしてる人はいないと悟りつつ)、そのパスワードを以下に。
<魔神プロメテウス LV73>
SせCふえゆにはTPえDJEよA
ひきさきGみんなWSかNもうかり
下段のパスがちょっとだけ愉快な文章と化しています。【みんなでG(ゴキ)を引き裂き、WS(ワンダースワン)で菅総理は儲かる】という…(ちょう意訳)
パスワードをキャンセルする度に全く新しいパスが出るので、上記のような文章に行き当たるまでしつこく粘ってみた。濁点文字は出ませんが、小十二時間(長)ほど粘ってみれば【はらたかし】(首相)とか【はらたいら】(三千点)とか【みのもんた】(色黒)とかは出そうな気がする。多分出るでしょう。【いろはにほへと……】はどんなに軽く淡く見積もっても三日三晩は掛かりそうですから、くれぐれも挑戦はしないように。
――とか書いていたら、プロメテウスを贔屓する理由に一つ思い当たった。
小学生の頃は実は大層手癖の悪い餓鬼でした。彼が火を盗んでゼウスから責め苦を受けたように、この自分もナントカGメンのいらっしゃらないスーパーで度々アレをソレしていたらある日とうとうそこの店長にとっ捕まってどっぷりじっとりと説教を食らったあの頃の思い出が、ほら、走馬灯の根元で死体みたいに埋まっている。(埋めた当人)(で、これ、悲しいかな全編実話)
あの店長の顔が藤田まことにそっくりだった事は強く印象に残っている。顔、ぜーんぜん思い出せないのに、なんでか、憶えている。
ブログ記事なのに臆面もなくリツイート。(われは天下の回し者)
しかしてその実体はと言えば、単に琴線にお触りした書籍の一部分をごそっと引用させて頂いているだけの代物ですが。リツイートって日本語的表現で超訳したらどんなものになるのでしょう。…………忍法つぶやき返し……?(そして返り討ち)
で、現在読解進行中の【ノンセンソロギカ】(柳瀬尚紀)より、とある一部分を。
<RETWEET>
【幻獣辞典の余白を 現代詩手帖のページで】
ウ
ウは、鵜飼の鵜にそっくりであることからこの名がある。
ウには、愛すべきウと侮蔑すべきウがいる。愛すべきウは自己のウたることを承知のうえで適当に、もしくは適度にウに甘んじているだけなので、もはやウとして失格である。侮蔑すべきウは自己のウたることを知ってか知らずか、ともかく猛烈に、かつ過度にウに徹しきってしまうので、これが本物のウである。以下は、その本物のウ、なかでもエリートのウと、エリートのウを志向するウに関するおよその輪郭である。
ウは早起きである。しかし早朝の畑や海へ出かけるのではなく、きちんとユニホームを着て箱型の運搬車に乗る。箱のなかは乱闘寸前の混雑だが、ウは耐える。一流大学を一流の成績で出ているので耐える能力も超一流だ。この日課をツーキンといってアングロサクソン語では commute すなわち「取替える」「交換する」「金で代償する」の意味である。ウは交換可能のずば抜けた完成品である。その意味では、ウは紙幣にも似ている。事実、ウは豊かだし、平べったい。ウの出かける先は、社会の二文字をさかさまにした巨大な組織である。むろんその組織は一流で、ウはそれ以外の組織を認めない。それどころか、ウにとって、自分の属する社会の二文字をさかさまにした組織以外に社会はない。そこの規律の外に何かが存在しうるなど理解しがたいのだ。
そこの組織にウは服従しているのだろうか。そうではない。ウはそこの掟をみずからが支えていると信じはじめ、そのことを誇りとするにいたる。ついにウは、自分がニホンケイザイを支えていることに気づくのだ。かくてウは一人前となる。ウの凛々しい姿をつぎの絵に見るがよい。(絵は略)
ウは、何よりもまず、面白みのない怪物だ。滑稽という人生の潤滑油を受けつけないのだ。もともと滑稽な要素の大きい性の営みを、ウがどんなふうに果たすのか、想像するのは至難である。たぶん包皮にカイシャ名を刺青しているのかもしれない。ウが酒を飲むときも、やはり面白みはない。そもそも、ウのしゃべることが面白くないのだ。では、ウは道化になれないかというと、ここでもウは一級である。一昔前、コッケイという国立芝居小屋に特別出演を要請され、その一言一句、一挙一動がテレビ中継されたとき、二人だったか三人だったかのウは、いかなる道化役者もかなわない道化ぶりをやってのけて、ウたる怪物の面目を発揮した。
妙なことに、人間の親たちはわが息子を本物のウに仕立てあげようと躍起になる。
筆者は、しょうがなくてウという怪物をやっている失格のウが好きである。
</RETWEET>
このウは、単純に【サラリーマン/OL】と変換するだけでなく【ウ=U=YOU=あなた】との意味を増量するとより骨身と血肉に染み渡るように思えます。commute の意味があまりにも真理を抉りすぎていて、笑うに笑えない。
そして柳瀬さんの本業が【英文学者】である事が時々どころか終日信じられなくなる。
――いや、“だからこそ”、日本語の設計図を日本文学者以上に把握しているのかもしれない、か。
しかしてその実体はと言えば、単に琴線にお触りした書籍の一部分をごそっと引用させて頂いているだけの代物ですが。リツイートって日本語的表現で超訳したらどんなものになるのでしょう。…………忍法つぶやき返し……?(そして返り討ち)
で、現在読解進行中の【ノンセンソロギカ】(柳瀬尚紀)より、とある一部分を。
<RETWEET>
【幻獣辞典の余白を 現代詩手帖のページで】
ウ
ウは、鵜飼の鵜にそっくりであることからこの名がある。
ウには、愛すべきウと侮蔑すべきウがいる。愛すべきウは自己のウたることを承知のうえで適当に、もしくは適度にウに甘んじているだけなので、もはやウとして失格である。侮蔑すべきウは自己のウたることを知ってか知らずか、ともかく猛烈に、かつ過度にウに徹しきってしまうので、これが本物のウである。以下は、その本物のウ、なかでもエリートのウと、エリートのウを志向するウに関するおよその輪郭である。
ウは早起きである。しかし早朝の畑や海へ出かけるのではなく、きちんとユニホームを着て箱型の運搬車に乗る。箱のなかは乱闘寸前の混雑だが、ウは耐える。一流大学を一流の成績で出ているので耐える能力も超一流だ。この日課をツーキンといってアングロサクソン語では commute すなわち「取替える」「交換する」「金で代償する」の意味である。ウは交換可能のずば抜けた完成品である。その意味では、ウは紙幣にも似ている。事実、ウは豊かだし、平べったい。ウの出かける先は、社会の二文字をさかさまにした巨大な組織である。むろんその組織は一流で、ウはそれ以外の組織を認めない。それどころか、ウにとって、自分の属する社会の二文字をさかさまにした組織以外に社会はない。そこの規律の外に何かが存在しうるなど理解しがたいのだ。
そこの組織にウは服従しているのだろうか。そうではない。ウはそこの掟をみずからが支えていると信じはじめ、そのことを誇りとするにいたる。ついにウは、自分がニホンケイザイを支えていることに気づくのだ。かくてウは一人前となる。ウの凛々しい姿をつぎの絵に見るがよい。(絵は略)
ウは、何よりもまず、面白みのない怪物だ。滑稽という人生の潤滑油を受けつけないのだ。もともと滑稽な要素の大きい性の営みを、ウがどんなふうに果たすのか、想像するのは至難である。たぶん包皮にカイシャ名を刺青しているのかもしれない。ウが酒を飲むときも、やはり面白みはない。そもそも、ウのしゃべることが面白くないのだ。では、ウは道化になれないかというと、ここでもウは一級である。一昔前、コッケイという国立芝居小屋に特別出演を要請され、その一言一句、一挙一動がテレビ中継されたとき、二人だったか三人だったかのウは、いかなる道化役者もかなわない道化ぶりをやってのけて、ウたる怪物の面目を発揮した。
妙なことに、人間の親たちはわが息子を本物のウに仕立てあげようと躍起になる。
筆者は、しょうがなくてウという怪物をやっている失格のウが好きである。
</RETWEET>
このウは、単純に【サラリーマン/OL】と変換するだけでなく【ウ=U=YOU=あなた】との意味を増量するとより骨身と血肉に染み渡るように思えます。commute の意味があまりにも真理を抉りすぎていて、笑うに笑えない。
そして柳瀬さんの本業が【英文学者】である事が時々どころか終日信じられなくなる。
――いや、“だからこそ”、日本語の設計図を日本文学者以上に把握しているのかもしれない、か。