創作サイト【文燈】の雑記、一次、二次創作書き散らし用ブログ。
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“だから「解毒剤」がつくられるとしたら、それは「文法」に対する解毒剤というよりは、完全平和状態、完全理性状態を人類にもたらすような、ある意味で「文法」の鏡写し、それはそれで想像するとちょっと恐ろしい別世界をつくりあげるツールになるでしょうね。”
――【伊藤計劃記録】P167
「文法」=【虐殺器官】のその先を述べているこの一文は、紛れもなく【ハーモニー】の世界像を指し示している。器官が世に出てそれほど時間が経っていないこの時点で既にハーモニーの基盤は固まっていた、と言う事ですか――文法の鏡写し。器官の「文法」が【~せよ】というある種の行動を促すものの群体であるとすれば、ハーモニーの「文法」は【~すべきでない】という抑制の羅列のように思えます。解放と抑制の鏡写し。ただ、ハーモニーが【抑制器官】的なタイトルで売り出されたなら確実にWatchMeならぬWatchOnly(素通り)されて世には広まらなかったでしょうが(笑)。
ハーモニーの装丁をウェブ上で初めて見た時のあの染み込むような悪寒は、忘れ難い。ある一つの調和は、それよりも小さい調和の無限の複製に他ならない……個性の複製が形作る無個性の調和。そんな微笑み混じりのグロテスクさだからこそ、このタイトルが鮮烈で辛辣な輝きを放っているように思えたものでした。
そんな計劃さんの【伊藤計劃記録】、未読のままだったインタヴュー部分の残りを一気に読み進めた。盟友・円城塔氏との座談の中での【装飾と構造】のくだりはとっても納得。全ての要素に情報入りのタグを埋め込むのが計劃さんなら、構造された世界という一つのモデルに「このセカイの成分:人、空気、牛乳、靴下、悪の電子頭脳、……」と構成要素をまるごと箇条書きしておくのが円城スタイルなのかな、とか。この二人が共著したSF作品を、観てみたかった。本当に。
未完の【屍者の帝国】の冒頭部分を読んで、【トリニティ・ブラッド】を想像した人は少なくないのでは、と感じた。
と同時に、そのトリブラの著者さん(故・吉田直)の事を思うと運命とか人生とか宿命とかの諸単語の酷薄さを感じずにもいられなかった。死神の(鎌の)精度はFIFAの審判の世紀の大誤審なんて目じゃない脅威の低クオリティなのです。
あちらの世界には、そんなにも、娯楽の提供者が足りないのだろうか。
上京中の妹から『オーラを見てくれるとこの場所教えて』(母親経由で伝わっていた模様)とのメールがやってくる。
で、場所とか営業時間とかを詰め込んだ返信を送り返した。明日以降に行くのだろうけれど、どのくらい感化されて帰ってくるだろうか……若干(偽らざる本音)楽しみ。笑。
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