創作サイト【文燈】の雑記、一次、二次創作書き散らし用ブログ。
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【 マルドゥック・スクランブル 】
( 文庫・小説 / 沖方丁 / ハヤカワ文庫 )
> Vol.1:【圧縮】
> Vol.2:【燃焼】
> Vol.3:【排気】
三冊全てを読み終えたのは今年に入ってから(2008/1)ですが、買ったのは結構……と言うか、滅茶苦茶、昔。最初から順に四刷、二刷、二刷と言う印刷状況がその動かぬ証拠だったり。”美味しいものは最後に取っておく”なんて言い訳、木っ端微塵。
まあそれはさておき、感想へ。
スマート、シャープなSFの土壌と土台を備えていながら、非常に――内省的、哲学的な側面も持ち合わせている物語です。【燃焼】でのボイルドとフェイスマンの問答等がその好例だと思いますし――更には、煮え切ろうにも煮え切れないラブコメ的な”素顔”までちらちら覗かせているのだから他書に浮気する間もなくお腹一杯。バロットにウフコック、お互い生煮えなのに周囲から見ると全てを焼き焦がす炎が燃え盛っているようにしか見えないですから。笑。
そして何と言っても一番の見所は、【排気】でのカジノ、ブラックジャックによる決闘シーンでしょうよ。勝負なんて安直な言葉は、あの静謐ながらも鬼気迫る文章の前には一ページすら耐え切れずに圧し折れます。螺旋を昇るように、精神が成長し、研ぎ澄まされて行くその過程こそが、この作品の心臓部なんでしょうねえ。
この物語の前、嘗てウフコックがボイルドと組んでいた頃の物語である【マルドゥック・ヴェロシティ】は未読(と言うか未購入)ですが、いずれはそちらも。文体に特徴が云々と言う書評も気になりますし。
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