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 【 グラスホッパー 】
 ( 文庫・小説 / 伊坂幸太郎 / 角川文庫 )


 【重力ピエロ】を読んだ時に感じ、そしてこの作品を読んだ時に改めて強く感じた、この”地に足の付いていない”感覚。とは言えそれは巷間で使われるネガティヴな意味合いではなく、作品の中にちらほらと迷い込む非現実を違和感無く構成の中に組み込む為に必要な要素なのでしょうね。重力ピエロで感じたのは語り手達を取り巻く不安定な浮遊感、そしてこの【グラスホッパー】では”殺し屋”達が蠢く際に生じる動的な跳躍感。作品の本質を”露わにし過ぎない”程度に絶妙の加減で表現しています。文章だけではなく、命名センスにも憧れを抱きますね。
 刺し屋、自殺屋、そして、押し屋。
 日常からかけ離れている仕事を選択している彼等は、題名になぞらえて言うなら、地を蹴って跳躍している真っ最中なのでしょう。ただ、普通の人々は跳躍してもすぐ現実、大地に引き戻されてしまうのに、彼等は重力の追撃を上手くやり過ごして非日常の中に浮遊したままでいられる訳で。
 けれど高く跳び過ぎたグラスホッパーは、墜落する事でしか、絶命する事でしか地面に降り立てない宿命もきっと背負っています。他の二人と比べて明らかに自らの仕事に思想的な意味を見出している”押し屋”は、自らが地面に墜落するその瞬間、一体何を走馬灯として見出すのでしょう。
 使い捨てられるのではなく、使い切られて行く、非情な社会。
 ――にも関わらず、
 物語の最後に一粒の救いをしっかり残して行く辺り、伊坂さんは心憎い。苦笑。

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