【 アプラクサスの夢 】
( ライトノベル / 高橋弥七郎 / 電撃文庫 )
ここ最近の書評に共通する傾向ですが、この作品もまた、出版されたのは結構昔。04年の夏頃でしたから、もう三年半以上が経過しています――買ってすぐ読み終えた点だけが、熟成させ過ぎな【マルドゥック・スクランブル】辺りとは違う所ですが。笑。
題名では触れられていませんが、この作品は所謂【A/Bエクストリーム】シリーズの三作目に該当するものです。所謂、と言っても作品自体がマイナー極まりないものなので、御存知ない人々が大多数でしょうけれど。高橋先生と聞いて真っ先に思い浮かべるのは【灼眼のシャナ】でしょうからねえ。
素敵に剣呑、陽気で不敵な駆除屋(エクスターミネーター)達の、とことん楽しくほんのり苦い機械仕掛けの御伽噺。未来型【バッカーノ!】と呼んでも差し支えない――と一瞬考えたりしましたが、むしろこの物語の登場人物達はその馬鹿騒ぎを自覚している分だけ、前述の人々よりは冷静です。達観している、と言うべきか。それはまた、【権利兌換制】の敷かれた老化の止まらない世界と真っ向から対峙している証明でもあるのですが。
リゾルートがトランクイロに捧げる【騎士道】は真っ直ぐ過ぎるが故に歪み、その歪み方があまりにも真っ正直な故に心を締め付けられます。駆除屋にとっての物語は常に”倒すべき相手”の物語、なんでしょう。主役でありながら常に脇役である訳ですが、だからこそ、あのような凸凹に恵まれたイイ性格の人々が出来上がったんでしょうね。苦笑。
今でも続編を待ち続けています。
続編の出て欲しいライトノベル、永遠の第一位。神棚。
この作品の題名から【A/Bエクストリーム】の文字が外された事が「これはあくまでも独立した一作品でシリーズの今後は無いですよ」と言う電撃文庫の意思表示だとしても、自分は諦めませんよ。この一件に関しては諦めの悪さを遺憾なく発揮し続けますとも。