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創作サイト【文燈】の雑記、一次、二次創作書き散らし用ブログ。 休止解除しました。創作関連はサイトでの更新に戻るので今後は雑記、返信等が中心となるでしょう。更新が鈍い場合はツイッター(http://twitter.jp/gohto_furi)に潜伏している可能性が、大。
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 大震災関連のニュースで、地盤沈下した沿岸部の被災地で稼動している排水ポンプ(入り込んだ海水を海へと汲み出す)の映像を見て、必然的に【ねじまき少女】(パオロ・バチガルピ/ハヤカワ文庫)を連想した。作中の海水ポンプはあのバンコクそのものを水没から救っているのだから、視覚化したら凄まじいスケールになるんだろうなー。
 この作品が【虐殺器官】に通じる理由として、今ここに存在している現在を、発想を飛躍させるのではなく地道な、入念な“開墾”によって未来へと繋げている著者の姿勢があるように思える。現実の問題を一つ一つ丁寧に積み重ねて行って、解決し得るものを排除して、解決できないものを積み残して、堅実に予想でき得る新たな問題を積み増して。発想一つで削り上げる閃きの彫刻ではなく、砂粒を一粒一粒積み上げ、抜き取って行った果ての〈砂の城〉。けれどそれは、津波や激震すらも容易に跳ね除ける堅牢な論理によって下支えされている。
 一切のサプライズを拒絶する完全に地続きの未来は、想像ではなく計数によって導き出されるのかもしれない。しかし【ねじまき少女】の場合、その冷淡な計数と、登場人物たちの由緒貧しき人間味が器用に両立しているからSFの枠に囚われないエンターテインメントとして評価されたんだろうなと感じた。影の主役はホク・セン。これは決して譲れない。笑。
 計劃さんの作品と同様に、この作品でもジャクソン・ポロックの名前が出てきたのもちょっと興味深い所。アクション・ペインティング(オートマティスム)の思想それ自体が、SF、特に妄想理想が入り込まない地続きの未来を構築しようとする作家さんのスタイルとフィットするのだろうか。
 いずれ、バチガルピさんの短編集もハヤカワ辺りで出して貰いたいものです。

 ――ブクログに書かなければならない文章だな、これ。(自分に向けて)(放置なう)
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