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創作サイト【文燈】の雑記、一次、二次創作書き散らし用ブログ。 休止解除しました。創作関連はサイトでの更新に戻るので今後は雑記、返信等が中心となるでしょう。更新が鈍い場合はツイッター(http://twitter.jp/gohto_furi)に潜伏している可能性が、大。
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 秋田BOXの後日談関連の話を読んでいる方なら楽しめる、か、もしれません。会話小話。

 ( 10.1.4 )



「しーしょーぉ。師匠ー、いますかー? ……いますよねだってほら耳を澄ませば家の中からこぽこぽって働きアリの虫の息っぽい物音聞こえますから」
「いや、それ薬缶の水が沸騰してる音だから。どうしたんだい、ラッツべイン」
「あ、師匠。相変わらず今日もピンからキリまで茶褐色まっしぐらですねー。えっと、母さんが作った新作のクッキーをお裾分けに来たんです。例によって家族やご近所さんに食べて貰う前に真っ先に師匠に味見して欲しいそうですよ」
「味見ね。僕からすると毒見以外の何事でもないんだけど……今回のタイトルは?」
「えーと、【一触即発・石鹸の石鹸による石鹸の為のあくまで石鹸風味ホワイトニングクッキー約2%】だそうです。聞くだけで口から涎が出そうな名前ですよねー」
「口から出るのは涎じゃなくて泡そのもののような気もするんだけどなあ。僕に味見させる時だけこんなものを作るのか、こんなもの作っちゃったから僕に味見させるのか、どっちなんだろうね」
「まあ、それはそうと師匠。どうしてそんなでっかい箱とにらめっこしてるんですか?」
「ん? ああ、これは僕の母さんからの届け物だよ。最近は毎年、誕生日に合わせるかのように送られてくるんだ――昔凝っていた趣味の焼き物を近頃また始めたらしくて、去年も今年もそれが同梱されてた。そういえば去年送られてきた時は、校長の分まであったっけ」
「あー、そういえばそうでしたね。それ見て父さんすっごく苦々しい顔してましたけど、師匠の母さんとうちの父さん、知り合いか何かですか?」
「…………どうかなー。その点に関しては僕は何も知らない、っていうか何も知らなかった事にしたままにしておきたい。永遠に」
「なんか明らかに真相知りまくりな言い回しですよ師匠」
「あっはっは、まあそれはそれとして」
「うわ露骨に明後日向きまくりだし。それはそれじゃないんですー」
「今年も校長の分があるから、持って帰って渡してくれるかな。それと……あぁ、そうだ。わざわざクッキー持ってきてくれてこんな頼み事するのもアレだけど、ちょっとお使いを頼まれて欲しい。このマグカップ、隊長の所に持っていってくれないかな」
「隊長――あぁ、隊長って、年に三語でお馴染みのエド・サンクタムの事ですか? あの人の分もあるんですかー」
「うん。そっちに関しての接点は本当に知らないんだけど、渡す人リストに名指しされているから。頼まれてくれるかな?」
「分っかりましたー、じゃあ早速届けてきまーす」


「ただいまですー、師匠」
「お帰り。隊長、在宅だった?」
「ばっちり在宅でしたよ。例によってこっちから呼び掛ける前にひゅろっと現れました」
「ひゅろっと?」
「音も無く現れる時の擬音ですー。あ、因みに師匠ヴァージョンだとふゅひょよろっとになりますけど」
「それ発音しにくいなあ。と言うか、音も無く現れる擬音って矛盾してるような気もする」
「細かい事気にすると歯茎まで茶色になりますよ師匠。それでですね、事情を説明してマグカップを渡したら【少し待ってろ】って言って一回家に引っ込んだんですけど、暫くしてこの手紙を持って出てきたんです。【渡せ】って言ってましたけど……これって、師匠のお母さんに、ですよね?」
「うん、そうだろうね。去年僕が届けに行った時にも同じような手紙を預かったから」
「年に三語のエド・サンクタムのお手紙……あの、あのあの」
「ん?」
「ほんのちょっぴり、冒頭の部分だけでも中身覗いちゃ駄目ですか? ほら、封に糊付けもされてませんしもしバレてもついうっかり出会い頭の文通事故に遭った的な言い訳を存分に駆使する方向性で」
「文通事故ってどんな事故なの、って疑問は兎も角、そういうのはあまりお薦めは出来ないなあ」
「えー。師匠は興味ないんですかー」
「いや、興味は人並み程度にはあるけど……去年うっかり中身を落として文面見ちゃった身としてはやっぱりお薦めできないかな」
「ざっくり見てんじゃないっすか! 擦り切れた顔してやる事えげつないですよー、師匠」
「そういう使い方かなあ、その表現。って、あ、開けちゃった」
「師匠とわたしが黙ってれば大丈夫ですよー。で、えーっと。……【すれ違い編第二章『一寸の虫から五分の七分丈!』 総統が暗殺されてボクら毒ガス部隊は散り散りになった。勢いづく解放戦線の追っ手から逃れ逃れて辿り着いた辺境の山村で農夫としてひっそり生きていく事にしたボクは部隊で培った雑用仕事、じゃなく神経性ガス製造スキルを買われて瞬く間に村の狩猟チームのリーダーに。そして幕を開ける山のヌシことナナイロムラサキヒボタンアゲハエゾシカヘラクレスグマ、そう、あの伝説の大イノシシとの狩りつ狩られつの死闘は後世、アナログ時代最後の千日戦争と呼ばれ道徳の教科書の三文の一を占める大叙事詩になるのだが、勿論この時のボクはそんな事知る由も無かった……。 次回、すれ違い編第四章『運命の邂逅! 蠍? いや違う、それザリガニや!』】」
「…………」
「…………」
「第三章、何処行ったんだろうね」
「そこっすか! そこ食い付いちゃいますか師匠! もっとほら、色々、なんていうかマジで色々」
「そうかー、前回の予告のアレ、ナナイロムラサキヒボタンアゲハエゾシカヘラクレスグマだったのか。エゾシカまでは予想と同じだった、惜しい」
「惜しくないー! むしろ惜しみなくなんか色々残念ですよ師匠ー!」
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