登場人物の台詞に説明的なものが多すぎるのが気掛かり。訳知り顔で物を語られる事により、視聴者に置き去り感を与えないかどうか心配ですね。
取り敢えず、
贔屓のセルゲイ氏があの子(誰)と親子的な感じでくっつく展開希望。
( 書籍・文庫 / 森博嗣 / 中公文庫 )
読み進めて行く中で否が応でも感じてしまう、何とも言えない独特の息苦しさ。それは多分、この小説の物語、文体そのものが、空気が存在しなくなるぎりぎりの高高度を飛行しているからなのでしょう。
敢えて世界設定や背景説明を割愛し、主人公、語り手の周囲で進む状況だけを淡々と描写する事で、森先生のあの冴え冴えとした文体に更なるアクロバティック感が加重されたように感じます。小説と詩の境界ぎりぎりを曲芸飛行のように舞って行く、息詰まる言葉の数々。
私見ですが、音楽を聴きながら読むのが向かない小説です。音は空気を伝播する事によって伝わりますが、限りなく空気の薄いこの小説の中では、きっと無用の長物になるでしょうから。
心を揺さぶった一文は、
「言葉の方が、人よりも一瞬だけ早く死ぬからだ」
文中の数々の森語録の中でも、際立っている一文。深々と納得。
来年(08年)にアニメーション映画化されるそうですが、押井監督がこの世界をどのように因数分解、再構築、実体化させるのか。
期待と悪寒は常に表裏一体です。苦笑。
【 environmental prayer 】
(07.10.24 ―― 【PERSONA3】)
(3月某日:【CHARIOT】&【MAGICIAN】)
【 ザレゴトディクショナル 戯言シリーズ用語辞典 】
( 書籍・ノベルス / 西尾維新 / 講談社ノベルス )
恐らくはシリーズ完結させた後に書き始めたのでしょうね、この用語辞典。
逆に、この用語辞典を完成させてからシリーズを書き始めていたら、一体どのような戯言シリーズが構築――醸成されていたのだろうとも考えてしまいます。妄想は熱力学第一法則(エネルギー保存則)は鼻で笑って蹴っ飛ばしますが、第二法則(不可逆変化/エントロピー増大)の前にはいともあっさりひれ伏すもの。創作意欲は発熱する度に全く別の貌を覗かせるものです。
うそからでたまこと、
まことをまぜたうそ。
社会的に的確な表現がどちらなのかは明確ですが、この辞書を解説するのに適切な表現はどちらなのかと問われれば、悩まずにはいられない訳で。そしてこの作品は【辞典】と言うよりも【リンク集】と表記した方が良かったのでは、と思わずにはいられないので、潔く思う事にします。カルテではあってもレシピでは無い、と(それはちょっと違う)。
何となく、作者の【自分探し】の一環としての一冊かな、と思います。
そして自分探しは往々にして、【自分暴き】で落ち着いてしまうもの。
自分の心象を解体すると自作の部品が殆ど出て来ない事に気付いてしまうのは、笑うに笑えない笑い話ですがね。
【 ランブルフィッシュ 1 新学期乱入編 】
( ライトノベル / 三雲岳斗 / 角川スニーカー文庫 )
実家に帰った際に倉庫の中の書籍群(inダンボール)を漁っていて見付けた、一冊。今の住処に持って行く書籍群からは外されていた為にこうしてしがないダンボール・ライフを送っていた訳ですが、どっこい、どうして、面白い。
普段の創作や雑記ではなかなか表面には出しませんが、所謂”ロボット系作品”は好みの部類のジャンル。この作品の場合、RFと称されるそれらのロボ的要素と学園生活が上手に精巧にリンクされて、ともすると無為に高くなりがちな敷居になだらかなスロープが備えられています。レイド・フレームとランブル・フィッシュの頭文字がちゃっかり合わせられている事実に購入からN年(N:任意の自然数)も経過した今頃気付いた無脳者は、【ヒムロハイランダー】と言うRF名を見て反射的に福島辺りの3歳未勝利戦を想起した後即抹消。ロボと競馬(システム的相似)と学園が三つ合わさってどうして嵌らない理由が存在しようか、否、存在しないと言う結論です(それ反語)。
と、書いておきながら、この第一巻しか購入しないまま現在に至る現実。
久々に読み返して熱が再発したし詳細な感想も書き記したいので、シリーズ全巻すぐに揃えようと決心した次第です。
(財布の問題なんて気にしない)
(大丈夫、無いものは払えない)
……まあ、その内、揃えようか、な、と?(それ反故)